
混ぜるを考える
真空脱泡の基礎と注意点 ― 揮発性材料で起こるトラブルとは
真空脱泡とは、材料の中に含まれる気泡や空気を取り除くために、容器内を真空状態にして脱気を行う工程です。樹脂、接着剤、塗料、化粧品、食品、医薬品など多くの分野で活用されています。真空にすることで気圧が下がり、気泡内の圧力も低下するため、気泡が膨張して破裂しやすくなり、内部から空気が抜けていきます。
しかし、材料の中に「揮発する成分(揮発性溶媒など)」が含まれている場合、真空脱泡は注意が必要になります。揮発する材料を真空にさらすと、気泡だけでなく材料自体の成分も蒸発してしまう恐れがあるからです。
揮発性とは、ある物質が容易に気体になる性質のことです。物質は気圧が下がると、沸点(液体が気体に変わる温度)が低下します。つまり、常圧では安定して液体だった材料でも、真空にすると急激に蒸発が進む場合があります。たとえば、エタノールやアセトンなどの溶媒は常温でも揮発しやすく、真空下ではさらに気化しやすくなります。
これにより、以下のような問題が発生します。
・材料の成分が失われる
揮発した溶媒が材料中から抜けることで、粘度、組成、性能が大きく変わってしまいます。たとえば、樹脂の粘度が急激に上がり、加工性が悪化します。
・泡が逆に増えることがある
揮発によって新たな気泡が発生したり、すでにあった気泡が急激に膨張して破裂しにくくなることがあります。
・表面の欠陥やピンホールが生じる
急激な気化によって表面に凹みや穴が生じ、製品の外観や密封性に悪影響を及ぼします。
・安全性の問題
揮発した成分が真空ポンプに流れ込むと、ポンプの故障や爆発・火災の原因になることもあります。
これらの理由から、揮発性の高い材料の脱泡には、真空以外の方法(加圧脱泡、遠心脱泡、減圧制御脱泡など)が用いられることが多いのです。また、どうしても真空脱泡を行いたい場合は、低真空から段階的に減圧する、温度を下げて蒸気圧を抑える、溶媒を事前に減らしておく、といった工夫が必要になります。
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